マウリツィオ・カテランは1960年、イタリアのパドヴァに生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動している。
90年代初めの初期の活動から、カテランは、論理の一貫性あるいは様式、成功というものについて問いかけてきた。美術界にまつわるさまざまな社会通念を揶揄を込めて真似ることで、彼の作品は、わたしたちが日々の行為のなかで社会的に行う人や物とのやり取りの複雑さを映しだそうとする。それは、とめどなく続けられている儀礼的に行われる屈辱的なことや権力の乱用、あるいはそれとは逆に、楽しみながら精神分裂を試してみることで表現される。
カテランのアートは、スターとしての地位、怠惰、デモクラシーの間に分割されながら、種種の題材や方法を絶えず探し求めるなかで、さまざまな方向に発展していくが、しばしば美術史およびマスメディアや広告の特有の手法が使われる。例えば、初参加した1993年のヴェニス・ビエンナーレでは、アーティストに向けられる期待感について皮肉にあふれたコメントを書いて、自分の展示スペースを広告会社に販売した。1998年のニューヨーク近代美術館での個展では、役者を雇ってピカソの顔の巨大なマスクを被せ、美術館内で来館者や旅行者を歓迎させたのだ。
彼の作品はしばしばシュールリアリズムの世界に接し、たとえば、99年のヴェニス・ビエンナーレでは、ファキールと呼ばれる行者を生きたまま地下に埋め、弱さやもろさ、そして屈服の衝撃的なイメージを作りだし、なおかつ最も重要であるアートのイベントの一つを、見世物にしてしまったのだ。
リサーチ・プログラム教授(2000/2004)
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