ジョン・ミラー

Title
曖昧な絵ハガキの流れ
Date
1997-06-30 - 1997-07-14

CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、ジョン・ミラーの新作を発表しました。

「これらの写真は、“ミドル・オフ・ザ・デイ-白昼”という現在おこなっているプロジェクトの一部であり、正午から午後2時までの間の様々な場所で撮ってきたものです。働いているのか休んでいるのかは全くさだかではないけれど、多くの経験からいえるのは、この時間帯は、つらく、おぼろげな休息となる中間的な時間だということです。主観的な経験というものは、当然、文化や歴史、そしてその人によって異なります。しかし、それにもかかわらず、資本主義政策の経済のような客観的な要素をとおしてもかたちづくられていくし、勤勉なプロテスタント的な仕事に対する規律は、どんな文化にとっても本質的なものです。だからこそ、わたしは、その体験を記録しようとしたのです。ドキュメンテーションとしては、絵(絵画・写真)というものは逆説的なものです。その題材は抽象的なもの、いわば社会的な関係性であり、ものではないのです。時間というものの価値を問うものであり、日常生活を表わすものでもあります。大衆文化のなかでは日常生活における次のような二つの意味が幅をきかせています。ひとつは、いつもすでに知っていること。そしてもうひとつは、表現するにはあまりにも無意味なこと。その二つがいっしょになって引き起こす悪循環は、もっとも直接的な題材がしばしば謎めいたものとなる理由を明らかにするかもしれません。ここにある写真はそんな謎を解くことはできませんが、具体的な言葉として自分たちの生きている生活状況を観客が認識することなどできないということをほのめかしています。この点で、デ・キリコの広場を描いた絵画には影響されました。つまり、真っ昼間の街のまっただなかの完璧な静寂。超現実的な感覚を何とかとらえようとするより、わたしは(昇華されるはずのない)現実という感覚を保つようにしたかったのです。世の中にあるひとつひとつの絵(イメージ)は、結局は、世の中を描いたひとつの絵なのです。その絵はただ経験からえられた題材を表現しているのではなく、そのイメージを理解することから価値体系を再現するのです。つまり、使い古された絵画的な表現方法を再現するということによってわたしは、絵画という基準となる考え方を利用しているのです。前衛的な矛盾するものを観客につきつけるかわりに、わたしの写真は矛盾というものが存在しないのだということを観客につきつけるのです。ある意味で、これらの写真は絵画の絵画といえまる。その点で、俳句をモデルとしています。」 – ジョン・ミラー

ジョン・ミラーは、リサーチ・プログラムの教授として1997年5月25日から6月28日までCCA北九州に滞在しました。

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ジョン・ミラー
Date
1997-06-30 - 1997-07-14

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