Title |
佛倒 / 福到 |
Date |
1997-08-04 - 1997-09-05 |
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、パリを拠点に活動するチェン・ゼンの新作を発表しました。
制作指示:
1. 丸パイプ6本で、高さ3.8mの寺のような構造物を造る。
2. 構造物の3mの高さに、車やテレビ、冷蔵庫などの破片などのガラクタを吊り下げる。
3. この『宙づりの墓場』のモノとモノのあいだで、すべてのモノは、寺の『屋根』あるいは沈殿物の『浮遊しているもの』や点から降ってきた『遺物』とか『神の権化』のように竹の葉によってそれぞれ結びつけられ編み込まれていく。
4. 50体ばかりの仏像がこの寺の中心に逆さになって吊り下げられる。
構想:
「1993年の春、8年の間西洋で活動し続けて以来、わたしは初めて中国に帰国しました。それは、凄まじい勢いで進んでいる変化を体験したいということと、故郷である上海のような都市を通して、アジアの変貌と今後の動きを知りたいという気持ちからでした。その後も度々帰国して、アジア各地での自分のプロジェクトを考えたり実現したりしながら、この地域を観察したり、様々な着想を得たりしました。そして、この東洋という世界が欧米と競合してすでに強力な経済、政治ブロックをつくりあげ、まぎれもなくこの地域が脱中心化している(いくつもの中心を持っている)ばかりか、文化的な意味で、非常に激烈な『東西対立の中心的領域』を急速につくりあげたのだと実感しました。言い換えると、わたしたちは、アジアのアーティストとして、西洋中心主義のもとにある植民地的な考えに疑問を投げかけ明らかにしていくために、様々な異質な要素の交じり合うあり方を示そうとしたり、西洋において『自分の世界』をつくりあげようとして活動すべきであるだけでなく、現在のアジアはまさに『東と西の対立の最大の中心』であるということを自覚しなければいけないのです。」
「1995年の冬に、上海のとあるレストランに入って、わたしは不思議なものを見つけました。そこには漢字の福という字が逆さまに掛けられていたのです。なんなのかと友達に尋ねると、字を見るんじゃなくて読むんだよと言われました。その途端、わかったのです。逆さになった福(福倒)という発音は、福が来るという意味と同じなのです。」
「このプロジェクト『佛倒/福到』は、次のような問いを投げかけるものです。それは、新しい西洋の物質主義的な社会のなかで、様々な民俗的な因習や迷信、宗教的な儀礼をとおして、東洋の『冨を得る』という伝統的な考え方はどんな作用をもつのでしょうか? 今のアジアにとって、仏陀と神性やお金、あるいは政治や権力、さらには精神性とのあいだにどのような関係や意味があるのでしょうか? アジアに暮らす人々は、いたるところに現れる仏陀とともに、われわれの近代社会や現代文化や独自の政治システムをどのように造り上げていくのでしょうか? しかも、その背景としては、いたるところに出現する仏陀の存在や精神性と、豊かさへの執着とのはざまでの混乱というものがあるなかで? 」
チェン・ゼンはリサーチ・プログラムの教授として、1997年7月7日から8月2日までCCA北九州に滞在しました。
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