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2019-06-29 - 2019-09-06 |
現代美術センターCCA北九州北九州は、ベルリンを拠点に活動するアーティスト、ローザ・バルバのプロジェクトを発表します。
日本で初めてのローザ・バルバの個展となるCCAでのプロジェクトは、バルバの映画的な彫刻と映像作品に焦点を当てます。「地球の中心から外へ」(2007)は、消滅の危機にさらされた島を舞台にしたフィクションを軸に展開します。それぞれが生き残り、社会を存続させるためには、住民が一致団結して行動を起こさなければならない、という設定ですが、島は年間1メートルずつ移動しているということで、どこか現実味を帯びてもいます。作中の研究者や専門家による報告は、超現実的な雰囲気を醸し出し、美しいドキュメンタリー映画に見えていたのが、より抽象的になり、人々が苦悩する姿やその弱さを露呈映し出していく奇妙な映像になっていくのです。
バルバの映像作品では、現実と非現実があいまいに表現されることがよくありますが、「経験的な効果」(2010)もその一つです。舞台となるのは、南イタリアのヴェスヴィオ山のある地域です。2009年夏に撮影され、主人公は、前回起きた、1944年のヴェスヴィオ山噴火を生き延びた、「赤の地域」と呼ばれる、噴火の直接被害が及ぶエリアの住人です。「経験的な効果」は、社会のストーリーを記します。信じられない程の緊張と隣り合わせながらも、無力で穏やかでもある生活を送る社会を映し出しています。
この2つの映像作品は、自然災害や疎外感、生き残ることの様相によってもたらされる自然と人間の力の間にある複雑な関係についてですが、「Enigmatic Whisper :不思議なささやき」(2017)は、20世紀を生きた一人の芸術家に焦点をあてます。アレキサンダー・カルダーです。16mmフィルムで撮影されたこの作品は、アメリカ、コネチカット州にあるロクスベリーのカルダーのスタジオ映したもので、映画が描きだしているのは、カルダーが使ったまま保存されている、制作に使われた道具や素材のイメージを通してみた映像的なポートレートであり、また自然の外側の文脈でもあります。不思議なささやきは、カルダーの一つのモビールに焦点をあて、このキネティックな彫刻は、カルダーのアイコン的な作品である、今なおスタジオの天井から吊るされています。この映像のリズムは、何度も起こる突然のシーンの変更とともに、ドラムとトランペットの音と同時に、動きにあるキネティック彫刻によって発せられる音によって明確に表されます。
また、三次元の作品「Footnote」(2013/2019)や16mmフィルムを使った「Color Studies」(2013)、「The Long Poem Manipulates Spatial Organizations」(2014)では、空間におけるオブジェの中で、映画的な表現を追求するバルバの試みを見ることができます。
ローザ・バルバは、2019年6月29日までCCA北九州に滞在しました。
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