篠原一男(1925-2006)は、建築の国際的なシーンにおいて、近年最も大きな影響を与えた建築家の一人。60年代、70年代に設計された住宅は「久我山の家」「白の家」など、日本伝統の意味を探求することから生まれる、研ぎ澄まされたような空間から構成されたものだった。80年代以降は「日本浮世絵博物館」、「東京工業大学百年記念館」などの公共施設も手がけ、新しい概念を造形の中につくりだしていく。併せて、40年間にわたる都市についての考察や、「カオスの美」や「住宅は芸術である」などの数々の言説は、建築・都市論において、これまでにない新しい視点を生みだした。実践、理論ともに新しい分野を切り開いていった篠原の影響は国内外を問わず、続く世代の数多くの建築家やアーティストに及び、他界後もその影響力が途切れることはない。2010年のヴェネチア建築ビエンナーレでは、その功績が高く評価され、特別記念金獅子賞を受賞。
1999/2001/2004/2006/2010
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