Title |
TRANSLATED BY |
Date |
2011-12-12 - 2012-01-20 |
TRANSLATED BY テッド・チャン、ダグラス・クープランド、ラナ・ダスグプタ、ジュリアン・グラック、川端康成、ジョナサン・レサム、ソフィア・アル・マリア、ヒシャム・マター、トム・マッカーシー、デイヴィット・ピース、ニール・スティーブンスン
あなたはインタフォンのボタンを押す。お待ち下さいとの声。しばらくすると、係の人が中に入れてくれた。そこは何もないし、音も聞こえないようだ。そして、薄暗い。
壁には、簡単な指示と、アルバムの曲目リストのようなものが書かれている。しかし、バンド名の変わりにあるのは、作家の名前。そして曲名の代わりに、場所名が書かれている。奇妙だよね?
ヘッドフォンを手にとり、それを小さな電子機器に取りつける。うす暗い空間を、森の幻影が走り抜ける。夜みたいだ。
ヘッドフォンをつける。最初の部屋に入る。壁には番号が書かれ、床からの照明で照らされている。電子機器の番号を。耳のなかに声が聞こえてくる。パチパチッという音、シューという摩擦音。あなたは、ネヴィンズ通りと三番街のあいだのアトランティック・アヴェニューにいる。そこはブルックリン。1971年。
時間が過ぎた気がする。尾をひく松の香り。音声は消えていく。次はどこにいくんだっけ。別のトラックでは、違う声が聞こえてくる。あなたは、80年代後半のシェラトンホテルで迷子になった6歳の女の子についていく。ドーハの砂漠に建つアステカの大きな船。
あなたは、自分が11のトラックから成るミックステープの時間と空間のはざまに入り込んだことに気がつく。いくつもの場所が寄せ集められたところ、それが、あなただ。トリポリ、東京、アルデンヌ。歳月が経過する。ソフィア、ブリクストン。変質する自己。湯沢の夜行列車。メタヴァース。さらに何分かが過ぎる。そして西バンクーバーまで。世界が終わるところまで。
キュレーター: チャールズ・アルセヌ=ヘンリ & シュモン・バサー
「Translated By」展は、ロンドンのAAスクール(Architecture Association, School of Architecture)で2011年1月15日から2月9日まで開催され、ベッドフォードプレスから本が出版されています。CCA尾倉ギャラリーの展示では音声、展示構成が変更されています。
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