ジミー・ロベールは、ベルリンを拠点に活動している。ロベールは、写真やパフォーマンス、映像などによって作品制作を行うが、個別の作品としてつくられると共に、インスタレーション作品のなかでの独立した要素として使われるそうした作品のあいだに対話が生まれるよう試みる。さまざまなイメージのもつ多孔性をとおして、さらに平面や立体といった異なる次元のイメージを創りだす表面にある力学を介して、彼は表現の不安定さを観察するのだ。映像作品では、いくつかの主題および与えられた空間におけるそれらの不在感や疎外感を活用しながら、さらなる要素を並置することでのコントラスト効果やその遂行性を探求していく。その一方で、パフォーマンスでは、素材としての身体についての考えがまさに追求される。ロベールは、イメージの読解の複雑さを強調しようといくつもの層を加えていき、そのなかで、間テクスト性(テクストの意味性を他のいくつものテクストによって形作ること)あるいは参照についての可能性も重要な役割を果たすのだ。文章を解体し、別の形でその内容を拡げていくというフランスの小説家、マルグリット・デュラスの作品には大きな影響を受けている。ロベールが用いる媒体では、内容と形式のもつ物語性はつねに対話の関係性にあり、それはまた、個々の作品においても、それらが並列される場合でも言えることなのだ。
リサーチ・プログラム教授 (2009)
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