CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、ヨン・ボックの新作を発表しました。
今回のプロジェクトでは、ギャラリー内の隠された空間に様々なインスタレーションが展開されました。オープニングの日にはボックがその空間でパフォーマンスを行い、観客はその空間を潜望鏡を通してのみ覗くことができたのです。
ヨン・ボックは、リサーチ・プログラムの教授として2003年2月3日から3月3日までCCA北九州に滞在しました。
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、フィリップ・パレノの新作を発表しました。
CCAでのプロジェクト「七色の空」は、決められた形式にあるものではなく、展覧会期間中に何度か様相が変わります。それぞれが、展示される別々のオブジェクトの一面となります。これらの時間を、3次元のスナップショットと考えることができます。3次元のスナップショットは、平面のスナップショットとほとんど同じですが、ただ1つ違うのは、その中にある情報により、世界について3次元の表現をつくりあげることができるのです。
このプロジェクトは、2000年5月にCCAに滞在したアーティスト、リアム・ギリックに宛てられたものです。1つの展覧会が、コミュニケーションのポスト・シンボリックな方法として手紙のように誰かに向けられることは、確かに珍しいことです。このプロジェクトは、90年代初めよりパレノとギリックが話し合ってきたことの一部なのです。ですから、観客はこのプロジェクトを、盗まれた手紙として、あるいはあらすじのような要素の続きとして、無頓着に読むことができます。そのあらすじの中では、フィクションと現実が交差しぼやけていて、将来(はかない)や過去(不安定な)のないような歴史の中のある瞬間を取り上げています。その瞬間は、夢の時間とその翌日のはざまで明滅しながら揺れ動いているのです。
フィリップ・パレノは、リサーチプログラムの教授として2003年3月CCA北九州に滞在しました。
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、ミシェル・フランソワの新作を発表しました。
今回の新作「デジャ・ヴュ」は、CCAでの滞在中に制作されたインスタレーションで、同じ部屋を2つ作り、そこに観客が訪れるというものです。どちらがどちらを映し出しているのか全くわからないような、いわゆる同時的な循環関係の中で、2つの部屋のそれぞれが、もう一つの部屋の鏡となります。一種の「劇中劇」が、さまざまな模倣の構造によって特定の位置関係に置かれるのです。
この終わりのない循環の中で、観客の物理的存在は、活性化を引き起こすものとなり、現実とフィクションの関係(または表現)をさらに入り組んだものにしていきます。観客の存在も含めた部屋の構造とそれを記憶する仕組みのすべてが一緒になり、心理的状態に効果をもたらす精神的なオブジェを創りだすのです。
いくつもの媒体によるミックスト・メディア・インスタレーションは、フランソワが認知と幻覚の分野で行っている研究の1つでもあります。以前に経験したり見たことがあるものを、見たり経験したと感じた時、私たちの頭の中では一体何が起きているのでしょうか?
ミシェル・フランソワは2003年9月初めから10月初めまで、リサーチ・プログラムの教授としてCCA北九州に滞在しました。
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、ケンデル・ギアの新作を発表しました。
CCAのプロジェクト「地獄」は、コンクリートとガラスの破片でできた壁でギャラリーの入り口を密閉し、過去にそこでプロジェクトを行ったアーティスト達の面影を閉じ込めます。ガラスの破片がささった壁で入り口をふさぎ、そこで目の当たりにするのは歴史の残影です。というのもその外観は、広島での原爆投下時に、爆風で飛ばされたガラスの破片が2.2 km先のコンクリートの壁にささったという事実を元に作られているからです。
「地獄の門」は、アートと実生活の2つの歴史の間に建っています。ギアは、そのどちらの歴史も重苦しいヒエラルキーであり、私たちの現在の居場所を理解するために通らざるをえない、ダンテの神曲・地獄編への入り口だと考えるのです。
ケンデル・ギアは2003年7月、リサーチ・プログラムの教授としてCCA北九州に滞在しました。
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、アンリ・サラの新作を発表しました。
「意のままに空をリードしていくには勢いが弱まりすぎたので、祭典の花火は、町の人々の花火技術で徐々に闇へと消されていった。ついに、公に行われる花火大会とそうでないものとのわずかな違いが天空で明らかになったのだ。夜明けの町の通りの至るところでは、地上に?り二度と空に上がることのない花火の燃えかすで覆われ、腐ったような爆薬の臭いがした。起きているのは道路清掃人たちだけで、彼らは、さらわれ、そして人々に操られた花火の噂話をしていた。すべては通り過ぎていったのだ!※」
アンリ・サラは2003年1月5日から2月3日まで、リサーチ・プログラムの教授としてCCA北九州に滞在しました。
※ 眺めのいい屋上に設置した、支柱に支えられた大きなビニールシート(雨よけ)の下で、即興でつくったDJグループと一緒に、大きなスピーカーを使って空に向って演奏した
フィリップ・パレノ(1964年生)は、パリを拠点に活動している。ビデオやフィルム、インスタレーションなど様々なメディアや手法を使って作品を発表、またピエール・ユイグやリアム・ギリックなど他のーティストとのコラボレーションも行っている。
リサーチ・プログラム教授 (2003)
Bridge the Gap? 2 (2005, Milano)
2003/2005/2006
「ノー・フォーミュラーワン・ノー・クライ タクシー」 は、都市のスピードと空間の関係を探るプロジェクトです。都市の中心を走るタクシーの中で、展開され、さまざまなイメージ、音、感情が幾つとなく重ねられるコラージュとして展開していきます。
聞き慣れたリズミカルなフォーミュラーワンの車の音は、かき乱すような野良犬の吠え声に遮られ、私たちが認知し経験する都市の「スピード」がこのプロジェクトの主体になるので、す。レーシング力ーに乗って移動するような想像上のアドレナリンの快感が、タクシーに乗って移動するというありきたりの現実によって打ち砕かれます。フオーミュラーワンの音から連想される世界は、紛れもない都会でありながらも、さまざまな野良犬たちが住むような政治的地理的な空間というそれぞれの経済的な現実によって、時として束の間、中断されるのです。
「ノー・フォーミュラーワン・ノー・クライ タクシー」は、フランクフル卜、バーミンガム、マイアミ、北九州そしてパリの各都市で、この音の作品が聞けるタクシーのネットワークを世界中に創りあげるという願いを込めて、継続的に進められているプロジェクトなのです。
メリック・オハニアン(1969生)は、ヴィデオやインスタレーションなどさまざまなメディアに よる作品を発表しています。その作品は、時間や空間また映像の認識、個人のアイデンティティ、あるいは政治的、地理的な背景も含めた現代社会における領域の意味というような、一つの概念では定義しがたいさまざまな問題が重なり合う事柄を基盤としている。
リサーチ・プログラム教授 (2003/2007)
ケンデル・ギア1968年5月にヨハネスブルグ(南アフリカ)に生まれ、現在はブリュッセル(ベルギー)を拠点に活動している。アフリカ人でかつヨーロッパ人であると同時に、そのどちらでもない立場にあるギアは、つねに「間」や境界についての概念、また雑多のものが入り混じった状態にひきつけられてきた。そうしたものは、それが何なのか、また同様に、何でないのかについて物語る。その創造的な衝撃と破壊的な衝撃は、戦略としてどちらも平等に作品に用いられる。それにより、アートと実生活は不安をともないながら接近し、対峙と並列を通して複雑になっていく。
リサーチ・プログラム教授 (2003)
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、メリック・オハニアンの新作を発表しました。
この展覧会のために制作される「スローモーション」の空間では、観客は「時代遅れのコンピュータ」を使い、文字や単語、サインを、5枚の照明板の上に作成していきます。その操作過程で、観客はコンピュータそのものとして機能するのです。
オープニング時には、仮定的始点として、ライティング・ボードの上に「SLAVE」の単語が現され、最終日には、仮定的終点として「VALSE」の単語が表示されます。この始点から終点に到達する間に、ギャラリーの空間では観客の自由な操作による無数の小さな変化が起こっていくのです。
このプロジェクトの「経過」は、観客がボードの上に伝達する操作の数字的変換により記録されます。この数字の符号化はまた、オハニアンがCCAで制作するアーティストブックに記号、サインとして再現されます。そのアーティストブックは、可能性を秘めた集合的な詩でもあるのです。
メリック・オハニアンは、リサーチ・プログラムの教授として2003年10月末から11月までCCA北九州に滞在しました。
マイケル・エルムグリーン(デンマーク)&インガー・ドラッグセット(ノルウェイ)は、95年より2人で制作を続け、現在ベルリンを拠点に活動している。
インスタレーションや彫刻的な作品の中で、エルムグリーン&ドラッグセットは、特定の場所にある公共の建築に包含される権力の構造を暴いていく。日用品や全体の空間を変化させることで、私たちの行動様式がいかに設計にコントロールされるかを示すのだ。エルムグリーン&ドラッグセットは、例えばこれまでに、ギャラリーの空間を丸ごと地面に埋めたり、2つの大きな風船で吊るすプロジェクト、またその空間を病院へと変えるプロジェクトや独房を壊して2つの空間にするプロジェクトなどを行ってきた。
リサーチ・プログラム教授 (2003)
CCA北九州プロジェクトギャラリーでは、エルムグリーン&ドラッグセットの新作を発表しました。
CCAプロジェクト・ギャラリーでの新しいインスタレーション、「構築された大惨事、FIG. 2」では、崩落した橋を展示し、それはギャラリーの空間を二分するように架けられました。しかしこれは、計画された事故なのです。構築された(プログラムされた)大惨事であり、崩れるようにデザインされた工学技術なのです。その気味の悪い美意識により、視覚的な魅力と、メディアが私たちに示す終わりの無い恐怖の連続の意識を呼び起こすものの間にあるあいまいな場所に観客を誘います。私たちは毎日のように自然や環境災害、戦争関連のニュースに向き合っており、それはあらゆる範囲での感情反応を私たちに呼び起こします。その視覚的な情報の抗しがたい攻撃によって、私たちは、恐れ、懸念、怒り、無関心をもって反応するとともに、視覚的な残酷さが持つ屈折した魅力さえ感じます。この魅力については、過激な変化-ほとんどの人にとっては手の届くことはない-に対する自暴自棄で無意識の切望によって説明がつくかもしれず、それは満たされない生活状況によってあおられるのです。メディアが伝える突然の事故は、その残酷さにもかかわらず、起こりうる変化の置き換えられたある種のシンボルと言えるでしょう。
「構築された大惨事、FIG. 2」は、現代都市の基礎構造とコミュニケ‐ションシステムのもろさを浮き彫りにしつつも、その筋書きは演出されているにすぎないという事実で私たちを慰めます。それは、個々の無力さへの敬意であると同時に、その力の無さが積み重なり根拠の無い強い恐れとなることへの警告でもあるのです。
メディア研究者達は何十年にも渡って、あらゆる主要なテレビ局がどのように報道を操り、様々な惨事のレポートを演出さえするかについて立証してきました。エルムグリーン&ドラッグセットがCCAのギャラリーで展示する事故は、それ自体が持つ仕組まれて創りあげられた特質を強調しているのです。
エルムグリーン&ドラッグセットは、リサーチプログラムの教授として2003年11月末から12月までCCA北九州に滞在しました。
アンリ・サラはヴィデオを使った作品で知られ、時に政治的、自伝的要素が織り込まれているような映像や、また何気ない中にも特徴のある動きや言葉の詳細をとらえた映像を作り出す。色や音、空気などの微細な変化をとらえたサラの映像は、映像そのものが主体というよりも、音や言葉、社会的背景などの複数の要素が織り込まれ、その相互関係の中で構成されていく。そして、音やイメージが持つ意味の可変性に気づかされる私たち観客の存在は、またそこに新たな展開を加えることになる。
リサーチ・プログラム教授 (2003, 2008)
Bridge the Gap? 4 (2006, 上海/北九州)
Bridge the Gap? 6 (2009, ニューヨーク)
2001/2003/2006/2008/2009
ドキュメンタリー映画監督
2003/2005/2009/2010/2011
ヨン・ボックは現在ベルリンを拠点に活動している。一見雑然とした、空間を埋め尽くすようなボックのインスタレーションは、日用品が多く使われ、時に実験室のようにも見える。そこは同時に彼のパフォーマンスの舞台にもなるのだ
リサーチ・プログラム教授(2003)
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーでは「CCAプロジェクトからのヴィデオ作品:ヨン・ボック」を開催しました。
ヨン・ボックは2003年にCCAに滞在し、プロジェクトを発表しました。今回上映されるのは、そのオープニングで行われたパフォーマンスをもとに制作されたヴィデオ作品です。
ギャラリー中央に設置された潜望鏡から覗き見る、天井に造られた空間にいるボックの動きや、その周りで様々に反応する観客の動き全体が、この作品の中ではまた別のパフォーマンスと化しているのです。
上映作品:
“Sechser Tragerl Sushi Aschai Periskop quautscht Schwamerl – Wie kann man das Gobu Ten Udon-masig bekleben”
(2003) 14:36
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、ネッコ・ソラコフの新作を発表しました。
観客の予想に遊びを仕掛けることは、ソラコフの作品における特別な目標です。ネッコ・ソラコフの日本初の展覧会を見にCCAプロジェクト・ギャラリーを観客が訪れると、一瞬そこには何もないように見えます。ただ空っぽの、美しく照明が照らされた白いスペースがあるだけです。しかし高さ4.5mの壁の一番高い所、照明、換気管があり四角に規則正しく区切られたコンクリートの天井の複雑な構造に続く辺りに、何かが起きています。とても小さなドローイングや日常品が、普通ではない関係の中に置かれています。いつもソラコフがやるように、たとえ話が表現された文章が壁に手書きで書かれています。しかし以前は、控えめで隠れるように書かれていたものの、ひざまずいたり体を曲げたりすれば見ることができました。それに比べてみると、今回の文章は、ギャラリーの床に立つ観客には全く読む事ができません。
そこで、この展覧会のカタログを手に取るのです。そこには、上から見た全ての物語が詳細にわたって見やすく表され、壁に書かれた小さなシナリオのクローズアップが完全に読める大きさの文字で見ることができます。そして、途方に暮れながら上を見上げている観客はその作品の背景となるのです。
ネッコ・ソラコフは、リサーチ・プログラムの教授として2002年11月21日から12月20日までCCA北九州に滞在しました。
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーでは、ベルリンを拠点に活動するアンリ・サラの新作を発表しました。
「『神の手』のゴールを導いた場面を示すように置かれた15体の仏像は、1986年FIFAワールドカップサッカー準々決勝、イングランド対アルゼンチン戦で、手を使ってマラドーナが得点した有名なゴールが決まる寸前の、静止した瞬間にいるそれぞれの選手たちを表しています。ゴールを導いた動きを表す図に従って、選手ひとりひとりがそれぞれ異なる仏像で象徴されています。それに対して、マラドーナはたくさんの手を持つ仏像で体現されているのです。」
「この『奇跡的』なアクションが進んでいく過程で、実況中継のアナウンサーはその状況に何とか追いつこうとします: 『さあマラドーナです。イングランドはそこまではかなりよく封じ込めています。ちょっと危なくなってきました。このクリアはお粗末です。マラドーナとシルトン。まるでハンドボールのようです。マラドーナは勝ち誇ります、ゴールは認められます、シルトンはカンカンです。ピーター・リードも。イングランド監督のボビー・ロブソンは信じられない、どう見てもハンドボールにしか見えないですが、ゴールは…』」
アンリ・サラは、リサーチ・プログラムの教授として2008年1月8日から28日までCCA北九州に滞在しました。
キャバレー・ヴォルテール及びハフラー・トリオでの活動を経て、現在クリス・ワトソンは録音技師として、世界各地の動物の鳴き声やその生息環境にある音を録音していくことに、独特かつ熱烈な興味を注いでいる。映画やテレビ、ラジオで活躍するフリーランスの録音技師として、自然史や、実録の現地物や環境などを含む自然や屋外での音の記録を専門とし、ポスト・プロダクションにおけるサウンド・トラックの編集やデザインを手がける。
アイスランド出身の数学者(幾何学)。1996年よりオラファー・エリアソンの数々の作品において協力している。
現代美術センターCCA北九州では、「ピピロッティ・リスト:初期のビデオ作品」を、2018年1月15日から3月2日までCCAギャラリーにて開催します。
ピピロッティ・リスト(1962年生)は、ビデオを用いた作品で知られるアーティストです。ビデオを作品に取り入れる最初の世代のアーティストが登場したのは、60年代後半頃のことです。80年代より制作を始めたリストは、その次の世代を代表するアーティストと言えるでしょう。60年代〜70年代では、ビデオそのものの特性(記録、再生)を意識した作品を制作するアーティストが多かったと言えます。しかし70年代以降、カラーテレビやビデオプレーヤーといった機材が広く普及し、80年代では、より多くのテレビ番組が制作されるようになり、次第に人々の生活や文化の一部となっていきます。リストは、そういったテレビ番組やポピュラーカルチャーの要素を柔軟に吸収しながら、独特の世界観を展開していきました。自然や、日常よく見かける光景をバックに、抽象的で、豊かな色彩で繰り広げられる映像には、リスト自身が度々登場し、本人が歌っている音楽が用いられることもよくあります。90年代になると、特定の空間の形に合わせたインスタレーションを次々と発表していきます。
これまでに、ヘイワード・ギャラリー(ロンドン、2011)、サムソン美術館リウム(ソウル、2012)、ニューヨーク近代美術館(ニューヨーク、2008)、ポンピドー・センター(パリ、2007)など、各国の美術館で個展を行っています。CCA北九州でも2000年にプロジェクトを行い、その他国内では原美術館(2007)や丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(2008)などで展覧会を開催する他、瀬戸内国際芸術祭(2011より常設)やPARASOPHIA京都国際現代芸術祭(2015)などで作品を発表しています。ヴェニス・ビエンナーレ、サンパウロ・ビエンナーレ、リヨン・ビエンナーレ、ベルリンビエンナーレ、シドニー・ビエンナーレや横浜トリエンナーレといった国際美術展にも多数参加しています。
今回CCAギャラリーで上映されるのは、80年代から90年代に制作され、この時期にリストの作品で主題になることが多かったセクシャリティや女性のイメージに着目した4本の映像作品です。特殊効果を用いて輪郭や色彩を変化させ、ポピュラー音楽や自らの音楽を流す映像の中で、私たちが抱く男女の身体についての考えや有名ミュージシャンの大衆イメージといったものを、現実的、そして非現実的な世界の両方の観点からとらえていきます。
上映作品:
Sexy Sad I (1987) 4’30”
You Called Me Jacky (1990) 4’02″
Pickelporno (1992) 12’
I’m a Victim of This Song (1995) 5’50”
現代美術センターCCA北九州では、ヨハン・グリモンプレの映像作品 「ダイアル ヒ・ス・ト・リー」(1997)を、2018年4月16日から5月18日まで上映します。
ヨハン・グリモンプレ(1962年生)はブリュッセルとニューヨークを拠点に活動する、映像作品を中心に発表しているアーティストです。フィクションとノンフィクション、アートと映画、理論と実践など、様々な要素を織り交ぜながら、新たなストーリーを引き出し、私たちを取り巻く現実の様々な側面やその変化に翻弄される人間や社会の姿を浮き彫りにしていきます。グリモンプレの作品はニューヨークやエジンバラ、ロサンジェルス、東京やベルリンなど多数の映画祭で
上映されており、またポンピドー・センターやベルリンのナショナル・ギャラリー、金沢21世紀美術館などに所蔵されています。
グリモンプレの名前を一挙に世界に押し上げたのが、1997年にポンピドー・センターとドイツの国際美術展、ドクメンタでプレミア上映された「ダイアル ヒ・ス・ト・リー」です。60-70年代に起こったハイジャックや国際テロを報じるニュース映像を中心に構成され、ドン・デリーロの小説からの抜粋やデイヴィッド・シーによる音楽とともに、事件を取り巻くマスメディアや社会、政治的背景の構造と力関係、そしてその変遷を辿っていきます。ハリウッド映画やアニメーション、コマーシャル映像なども使われ、現実と虚像を混在させながら、歴史的事件を新たな視点にさらすことで、私たちが日常目にするイメージに潜む複雑な力関係を明らかにしていきます。
dial H-I-S-T-O-R-Y, 1997, color & black/white, 68 min
アンセルム・フランケは、ベルリンを拠点に活動するキュレーター、ライターである。現在ベルリンのアート・インスティチューション、ハウス・オブ・ワールド・カルチャーズ(HKW)のヴィジュアル・アート/フィルム部門で指揮をとる。HKWでは「The Anthropocene Project」(2013-14)、「The Whole Earth」(2013)、「After Year Zero」(2013)、「Forensis」(2014)、「Ape Culture」(2015)、「Nervous Systems」(2016)など数多くの展覧会を手がけている。以前にはアントワープの現代アートセンター、エクストラ・シティのディレクター(2006-2010)、KW現代美術センター(ベルリン、2001-2006)のキュレーターなどを努め、長期のプロジェクト「Animism」(2014)や第10回上海ビエンナーレ「Social Factory」(2014)、台北ビエンナーレ「Modern Monsters/Death and Life of Fiction」(2012)、マニフェスタ7「The Soul」(共同企画、2008)などの国際展などを企画した。e-flux jounalなどの多数の美術雑誌に寄稿し、ロンドンのゴールド・スミス・カレッジで博士号を取得している。
常に実験的な試みを行い、その場所の空間性を巧みに利用した、迫力のある作品を展開する。住宅から「日本工業大学百年記念館/ライブラリー&コミュニケーションセンター」などの公共施設まで幅広く手がけ、突知として現れるユニークな構造物は、場所の風景を変容させ、その場所の新たな魅力を引き出していく。2003年より参加している越後妻有トリエンナーレなど、アートのプロジェクトも手掛ける。日本工業大学教授。
2010/2014
オーレン・アンバーチは、主にギターとドラムを用いて、独自のテクニックと様々な実験的な試みにより、既成の音楽や楽器に関する考えを超えたところでの取り組みを続けてきた。ピアノやグラスハーモニカなど他の楽器も取り入れながら、ジャンルを超えた新しいサウンドと、楽器の可能性を切り開く。ソロ活動に加え、数多くのサウンドアーティストとのコラボレーションも行っている。
2002/2003/2007/2009/2010/2011/2012/2013/2014
2002/2003
2002/2003
CCA北九州プロジェクト・ギャラリーは、ク・ジョンアの新作を発表しました。
「121002very」では、北九州に滞在しながら”very” (とても、大いに/真の、本当の)のような言葉の意味についてのサインを探していきました。
「どうやってあるものがすべて終わりに向かって、失敗したように見える時がくるのか考えること。それは、言葉にするのは難しいし、自分を必要とする感覚みたいです。例えば、床の上を歩くことで家には床が必要だとわかったり、手入れをしなければいけない植物のようだと感じたりするように。それは以前に経験したことがあるとかすかに感じた何かを、つくりだそうすることなんです。」 —ク・ジョンア
ク・ジョンアは、リサーチ・プログラムの教授として2002年9月17日から10月15日までCCA北九州に滞在しました。
CCAプロジェクトギャラリーでは、ク・ジョンアの新作を発表しました。
今回のプロジェクトでは、無意識の集中についての3つの状態が展示されました。
ク・ジョンアは、リサーチプログラムの教授として2011年1月8日から30日までCCA北九州に滞在しました。
イェンス・ホフマンは、ニューヨークを拠点に活動するキュレーターであり、ライターである。現在ジューウィッシュ美術館(ニューヨーク)の副館長、そしてデトロイト現代美術館のシニアーキュレーターを務める。これまでにCCAワッティス現代美術センター(サンフランシスコ、2007-12)や、ロンドンの現代美術センター(2003-7)のディレクターなどを務めた。第9回上海ビエンナーレ(2012)や第12回イスタンブール・ビエンナーレ(2011)など、数々の国際美術展や展覧会を企画している。また、FriezeやArtforum, Parkett, Texte zur Kunst などの世界の主要な美術雑誌を始め、展覧会カタログや美術関連書籍に200を超える文章や記事を書いている。近年の出版物には「Show Time: The 50 Most Influential Exhibitions of Contemporary Art」(2014)や「Ten Fundamental Questions of Curating」(2013)などがある。
(2014年当時)
2000/2014
オラファー・エリアソンは、人間の知覚や自然界の法則、自然現象などと深く関連するインスタレーションや写真を使った作品を発表している。科学者や建築家などとの共同プロジェクトも行う。
リサーチ・プログラム教授(2000)
Bridge the Gap? (2001, 北九州)
Bridge the Gap? 2 (2005, ミラノ)
Bridge the Gap? 4 (2006, 上海/北九州)
1999/2000/2001/2003/2005
片岡真実は森美術館チーフ・キュレーター。ニッセイ基礎研究所都市開発部、東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て、2003年より現職。2007から2009年はヘイワード・ギャラリー(ロンドン)にて、インターナショナル・キュレーターを兼務。第9回光州ビエンナーレ(2012年)共同芸術監督、CIMAM(国際美術館会議)理事(2014-2016年)。グッゲンハイム美術館アジア・アートカウンシル・メンバー、ユーレンス現代美術センター(北京)アドバイザリー・ボードなどを務める。近年の主な企画に、「アイ・ウェイウェイ:何に因って」(2009/2012-2014)、「イ・ブル」(2012)、「会田誠:天才でごめんなさい」(2012)、「リー・ミンウェイとその関係」(2014-15)などアジア中堅作家の個展、サンフランシスコ・アジア美術館での「Phantoms of Asia」展(2012年)のゲスト・キュレーションなど。日本及びアジアの現代アートを中心に企画・執筆・講演等多数。2016年度より、京都造形芸術大学大学院教授。2018年の第21回シドニー・ビエンナーレ芸術監督。